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「空気と水」から生まれる心の還流。李庸宇評「梁慧圭(ヤン・ヘギュ) O₂ & H₂O」展

ヴェネチア・ビエンナーレ、ドクメンタ13などの大型国際展に招待されてきた韓国のアーティスト、梁慧圭(ヤン・ヘギュ)。その大規模な個展「O₂ & H₂O」が韓国国立現代美術館ソウル館で開催された。無形の経験や感覚をアートの抽象的な言語で置換する本展で、作家はどのような問いを投げているのか? 韓国西江大学トランスナショナル人文研究所研究教授の李庸宇が考察する(*1)。

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見えないものへの想像力を喚起する。山峰潤也評「スクリプカリウ落合安奈 越境する祝福」展

同時代に活躍する作家を紹介するプログラムとして、2016年より埼玉県立近代美術館で企画される「アーティスト・プロジェクト」。その5回目の個展に選ばれたスクリプカリウ落合安奈は、リサーチをベースに、土地に遺る記憶や信仰などをテーマに、異なる時空間にあるものを結びつける作品を手がける。近作4点で構成された小展について、ANB Tokyoディレクターでキュレーターの山峰潤也がレビューする。

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見えない力が切り開く地平の先とは。内海潤也評「MOTアニュアル2020 透明な力たち」展

東京都現代美術館にて1999年より、日本の若手作家によるテーマ展として毎年開催される「MOTアニュアル」。第16回を迎える今回は「透明な力たち」をテーマに、バイオ・アートやソフトウェア・アート、インタラクティブ性や参加型を含むプロジェクトなど、社会や自然のなかの不可視なエネルギーをモチーフとする作品で構成。時代の一側面を切り取ってきた同企画の試みを、キュレーターの内海潤也がレビューする。

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車中から問う、鑑賞体験と近代主義 中村史子評 ドライブイン展覧会「類比の鏡/ The Analogical Mirrors」

本展は、滋賀県・比叡山の中腹に位置するシェアスタジオ「山中suplex」にて2020年11〜12月に開催された。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、鑑賞者を車から降ろさず、感染対策を徹底したドライブイン形式を採用。日没後のみに展開される車中からの鑑賞は、どのような目論見を備えているのか? 愛知県美術館学芸員・中村史子が論じる。

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定義することなく、多義的であること 布施琳太郎評「サイバーフェミニズム・インデックス」展

本展は、デザイナー/研究者のミンディ・セウとニューミュージアムの共同によって開催されているオンライン展覧会。1990年以降のサイバーフェミニズムのプロジェクト、ソース、参考文献をひとつのサイト上に収集・引用し、展示する。昨今のオンライン展覧会・アーカイヴにおいて、われわれはどのような態度が必要とされるのか。本展を通し、アーティストの布施琳太郎が論じる。

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終わりなき店開き。小田原のどか評 カタルシスの岸辺「光光DEPO」

2017年の結成以来、若手美術家たちによる実験的な活動を展開してきたコレクティブ「カタルシスの岸辺」。「マテリアルショップ」を自称する彼らが昨年、東京・神宮前のEUKARYOTEで行った実店舗プロジェクト「光光DEPO」から見えたその本質とは何か? 小田原のどかがレビューする。

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3DCG、粘土彫刻、そして自らの身体へ。gnck評 山内祥太「第二のテクスチュア(感触)」

アーティストの山内祥太は、VRや3DCGなどの映像技術と自身の身体イメージ、粘土彫刻を組み合わせながら独自の表現を展開してきた。新作個展「第二のテクスチュア(感触)」では、マンガ家・諸星大二郎の「カオカオ様が通る」から影響を受けて書き起こしたという、顔にまつわる短編物語をもとにしたインスタレーションを披露。作家の新展開を予感させた本展を、評論家のgnckがレビューする。

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線路に沿うように進む鑑賞。若山満大評「会社に運動会があった頃〜一企業が捉えた昭和30年代の街・ひと・くらし」展

東武博物館にて企画写真展「会社に運動会があった頃〜一企業が捉えた昭和30年代の街・ひと・くらし」が2020年9月から11月に開催された。東武鉄道の社内報に掲載するために撮影された写真を中心に、東武鉄道沿線の風景や風俗、人々の暮らしをとらえた60点を展示。その展示スタイルからみえた展覧会のそのもののあり方を、インディペンデント・キュレーターの若山満大が考察する。

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コロナ禍の前から変わらないものとは。荒井保洋評「日日の観察者」展

京都精華大学出身である4名のアーティスト、小出麻代、花岡伸宏、藤野裕美子、松元悠が参加した企画展「日日(にちにち)の観察者」は、日々のささやかな出来事や暮らしの観察から、新たな風景を生み出すというテーマのもと、HOTEL ANTEROOM KYOTO l Gallery 9.5で開催された。新型コロナウイルス感染症の世界的流行を経験したいま、改めて日常とは何かという思索へと誘う本展について、滋賀県立近代美術館学芸員の荒井保洋が論じる。

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「沖縄の問題」にアートはどうアプローチできるか。山本浩貴評「岡本光博展 オキナワ・ステーキ」

東京・神楽坂のeitoeikoにて、ポップ・アイコンをモチーフとした作品や、風刺的な表現で知られる岡本光博が個展を開催。作家自身がかつて滞在していた「沖縄」をタイトルに据え、米軍基地問題などをテーマとした作品が展示された本展を、文化研究者の山本浩貴がレビューする。

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キャラクター性のある場で作品はいかに振る舞うのか。長谷川祐子評 「生命の庭 8人の現代作家が見つけた小宇宙」

2020年10月から2021年1月にかけて東京都庭園美術館で開催された、青木美歌、淺井裕介、加藤泉、康夏奈、小林正人、佐々木愛、志村信裕、山口啓介が参加した展覧会 「生命の庭 8人の現代作家が見つけた小宇宙」。キュレーターの長谷川祐子が、同展における空間と作品、そして観客との関係性が生み出していたものを論じる。

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「日本写真」は何を語るか。清水穣評「ロバート・フランク ブック&フィルム 1947–2019」展

58年に写真集『アメリカ人』を出版し、ロードムービーのように当時のアメリカ社会を悲壮感とともに映し出した作品で評価を得たロバート・フランク。スイスのヴィンタートゥーア美術館で開催されたその回顧展を出発点に、戦後日本写真の展覧会の限界と今後を清水穣が論じる。

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「リボン」の由来と両者の関係をめぐって。椹木野衣評「クルト・セリグマンと岡本太郎」展

岡本太郎と深い親交を結んだスイス生まれの芸術家、クルト・セリグマン。川崎市岡本太郎美術館で開催された「クルト・セリグマンと岡本太郎」は、岡本の「空間」「リボン」シリーズにセリグマンの影響を探り、両者の友情が戦後の日本美術界にもたらした影響や意義を検証する展覧会だ。岡本の作品に登場する「リボン」をきっかけとして、本展を椹木野衣がレビューする。

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